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csi_miami:s04:083_payback

CSI: Miami - Season 4, Episode 11

#83 Payback

  • 邦題:「消せない感触」
  • 脚本:Marc Dube
  • 監督:Sam Hill
  • 初回放映:2005-12-19

Doctor… that day has passed.

事件概要

ヴァレリー・ナフ暴行事件

6年前に発生。家を購入したばかりのヴァレリー・ナフが自宅の寝室で暴行された。ヴァレリーの下着を車に隠し持っていた引越業者ブライアン・レキシントンが逮捕され有罪の判決を受けていたが、DNA鑑定の結果無実と判明。6年前の技術では鑑定できなかった証拠が決め手となった。釈放されたブライアンは下着ドロ行為を棚に上げてホレイショを非難し、カリーとウルフは6年前の証拠を調べ直す。

事件当時ヴァレリーが着ていたパジャマには、グラファイトの粉末が付着していた。それは新しい鍵を作成した時に生じる物質だった。鍵職人のフィル・コブはDNAが一致せず犯人ではない。だが、コブはヴァレリーに「鍵を3つ渡しただけ」と言っていたが、ヴァレリーのキーリングには鍵が2つしかついていなかった。さらに、そのキーリングから採取した上皮細胞のDNAがレイプ犯と一致した。

6年前の現場の写真では、そのキーリングは額に入った写真の前に置かれていた。その写真は、不動産業者ジェフ・コルソンから贈られたものだという。コルソンはDNAの提供を拒否したため、トリップ刑事は令状を取る。しかし、コルソンがいるオープンハウスへ行ってみると、コルソンはそこで撲殺されていた。DNAから、ヴァレリーをレイプした犯人はコルソンであることが判明した。

ジェフ・コルソン殺害事件

ナフ事件の新たな容疑者コルソンは、胸や腹部を何度も殴られたうえに鈍器で頭を殴られて死亡していた。ホレイショはオープンハウスの写真に写っている彫刻が現場にないことに気づく。頭部の傷口も、その置物の形状と一致した。何度も殴るという殺害方法は、怨恨による犯行であることを思わせたが、置物で殴ったにしては傷が浅かった。

コルソンが容疑者であることは、トリップが令状を請求する時の会話を立ち聞きしたメッセンジャーからリークしていた。ブライアンの弁護士がメッセンジャーを買収して情報を得ていたのだ。ブライアンは、デイド署を訴えようとしており、共同原告のヴァレリーにも情報を伝えていた。ヴァレリーの恋人ダグはそれを知ってコルソンを殴り倒す。その直後に現場に来たヴァレリーが置物でコルソンを撲殺したのだった。

ケリー・ガーバー事件(医療過誤)

交通事故の被害者ケリー・ガーバーの遺体がモルグに運ばれる。検死官助手のフォスターは、事故による傷が致命傷にしては小さいことを不審に思い、アレックスに遺体を見せる。アレックスは被害者の腹部にまだ新しい縫合の跡があることに気づいて傷口を切開し、手術に使用するガーゼを発見。ケリーは事故で死亡したのではなく、ガーゼから感染症を起こして死亡し、そのために事故が起きたのだった。アレックスはデルコに調査を依頼する。

デルコは執刀医のケスラーに事情を聞き、その際にケスラーが使用したグラスを回収。そのグラスからは、ビタミン剤のサプリメントが検出される。その組み合わせは、エクスタシーの使用を隠すためによく用いられるものだった。アレックスは、自分に会いに来たケスラーが汗をかき手を震わせていたことを思い出す。ケスラー医師はパーキンソン病を患い、手の震えを押さえるためにエクスタシーを使っていたのだ。アレックスは、ケスラー医師が無理な執刀でミスを犯し、ケリーを死に至らしめたことを指摘し、手術をやめるよう諭す。


感想

ちょっと変わった構成のエピソード。普段は「被害者の生前の姿 → 白フラッシュ → ホレイショ登場」というパターンが多いのだが、今回は昔の事件の被告人の無罪がわかった、という記者会見の場面で始まる。決め手となるDNA鑑定を行ったのは、ナタリア・ボア・ビスタ。今までの説明では、ナタリアは「未解決事件(コールド・ケース)担当」だったと思うのだが、有罪判決が下った事件の再調査もやるのだろうか(何かそういうプロジェクトがあるようだった)。ナタリアの仕事は連邦の管轄、みたいな台詞もあったように思うが、今回はデイド署の事件。どうもいまいちナタリアの立場がよくわからないなぁ。で、デルコは相変わらず遊び人なのね……。

事件の経緯よりも、6年前の事件の被害者(そして今回の事件の加害者)とホレイショが静かに対峙する場面が印象に残った。真犯人を――しかも、無実の人を非難して自分を欺き続けてきた犯人を目の当たりにして、殺さずにいられなかった被害者の怒りと苛立ち、レイプ事件とその裁判がどれほど辛い体験であったか、それをまた繰り返すことに耐えられなかった被害者の気持ちがもう少し丁寧に描写されていても良かったのになと思った。「犯人当て」のプロセスなんかより、そちらにもっと時間を割いてはどうだろう。だってマイアミはもう科学捜査のドラマではなくなっているのだから。

ところで、レイプ被害者が加害者を殺害して復讐を果たす、という点ではシーズン1の「目には目を」を思い出す。あの時ホレイショは加害者、つまりかつて被害者だった男性に対して「復讐で正義は成しえない」と言った。その時は「被害者が女性でも同じように言っただろうか?」と疑問に思ったものだが、今回このエピで「絶対言わねーな」と確信した(状況は少し違うけど)。

さて今回は珍しく事件が複数で、アレックスが前面に出て活躍していた。CBSの公式サイトには去年くらいまで、アレックスが「病院勤務時代に上司の医療ミスの責任を押し付けられて辞めさせられた」というような経歴が載っていたと思う。今はその説明はないようだが、生死にかかわらず「患者」を大切にし、不正や手抜きを決して許さないという一貫した姿勢に好感が持てるエピソードだった。

Yoko (yoko221b) 2007-03-02

csi_miami/s04/083_payback.txt · Last modified: 2020-03-28 by 127.0.0.1