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lao:s06:122_corpus_delicti

Law & Order - Season 6, Episode 11

#122 Corpus Delicti

  • 邦題:「遺体なき殺人事件」
  • 脚本:Ed Zuckerman, Barry M. Schkolnick
  • 監督:Christopher Misiano
  • 初回放映:1996-01-17

事件概要

People v. Lyle Christopher (判事:Henry Fillmore)

「ミスター・ウィケッツが殺された」という通報を受けてブリスコー、カーティス両刑事が現場である厩舎に出かけてみると、「ミスター・ウィケッツ」は競走馬であると判明。これは殺人課の事件ではない、とカーティスは捜査を打ち切ろうとするが、ヴァン・ビューレンはもう少し調べてみるようにと命令。

ミスター・ウィケッツには競走馬として欠陥があったため、馬主のブランソンが邪魔に思って殺したか、あるいは保険金詐欺が考えられたが、ブランソンは保険金の受取りを辞退し、また解剖も費用がかかるからということで行われないことになり、死因は疝痛と判断される。

ブリスコーは、ブランソンが捜査の手が及ぶのを恐れて保険金を辞退したと考え、共犯者を探そうとする。調べてみると、ライル・クリストファーという男の牧場で、疝痛による馬の死亡が目立って多いことがわかる。

クリストファーは、馬の死はすべて自然死であると主張し、ミスター・ウィケッツの死亡時はホテルのバーにいたというアリバイを主張。クリストファーのアリバイは確認されるが、同時に彼が会っていた相手がミスター・ウィケッツの厩舎で目撃されていたこともわかる。そこで、ブランソンが立案し、クリストファーが仲介して3人目の男が実際に手を下したという図式が浮かぶ。

クリストファーの前歴を調べてみると、財産のある中年女性を狙って結婚詐欺を繰り返していたことがわかる。そのうちのひとり、ルース・トーマスは現在行方不明。

ルースはクリストファーにだまされていたことを悟り、全額返金しなければ通報して訴えると脅していた。そしてクリストファーから逃れるために船旅に出ようとしたが、船旅は直前にキャンセルされた。キャンセルの連絡を入れたのはルース本人ではなく「ルースの甥」を名乗る男だったが、甥はいないはず。ルースの友人は、クリストファーが彼女を殺したことを確信する。

刑事たちは、ルースが船に乗る直前にクリストファーが彼女を拉致して殺し、船旅をキャンセルしたという仮説を立てるが、遺体は見つかっておらず、何も証明はできない。マッコイは殺人事件ではなく詐欺罪での立件を示唆する。

令状を取って調べた結果、クリストファーの車とボートからルースと同じ型の血液が検出される。また、クリストファーの現在の恋人であるスーザンの話から、クリストファーの友人ティボー・ニコルズの存在が浮上。ニコルズが馬を殺している実行犯と思われた。ニコルズは所在不明だったが、マッコイはブランソンを囮に使っておびき出し逮捕させる。ニコルズは馬を殺したことは認めるが、ルースの殺害は否定。ルースの失踪当日には、カリフォルニアで別の馬を殺していたというアリバイがあった。

車とボートの血液がDNA鑑定でルースの物とわかり、保釈中のクリストファーはルース殺害容疑で再び逮捕される。

公判でニコルズはクリストファーから「あの女を消せ (make the lady disappear)」と言われたことを証言するが、「殺せ」と明示されたわけではなかった。マッコイは「なぜ、殺人を依頼されたと思ったか」とたずねるが、弁護側が「馬の件は別問題」と異議を唱え、判事もこれを認め質問は却下。

ルースが失踪した当日、クリストファーは自分のボートに「大きな荷物」を運び込んだところを目撃されていたが、中身は不明。また、ルースが以前にひどい船酔いを起こし、船旅をためらう理由があったことや、黙ってバミューダへ旅行して「行方不明」と思われたことなどもわかる。車の血痕も、失踪前にルースが怪我をした時に付着した可能性があった。

クリストファーは自ら証言するが、マッコイは何度となく詐欺事件を持ち出して挑発したため、弁護人は「これでは陪審員は公正な判断ができない」と審理無効を申し立てる。判事は弁護人の主張を認めて審理無効。

4週間後、ルース・トーマスの遺体が発見されるが、シフは審理無効の件を持ち出し「喜ぶのは早い」と釘を刺す。


感想

6シーズン目に入りエピソードもすでに100話を超えているが、人間以外の被害者(者?)で事件が始まるのは初めてのケースだろう。いくら何でもこれは殺人課の仕事ではないような……カーティス刑事の反応はもっともだろう。

しかし捜査をすすめていくと、同じ牧場にいた馬が何頭も続けて不審死を遂げていることがわかり、保険金詐欺の可能性が浮上。さらにその牧場主が結婚詐欺のようなことを繰り返し、被害者のひとりが行方不明になっていることがわかり、殺人の可能性も浮かんでくる。とはいうものの、遺体も見つかっておらず本当に殺人が行われたかどうかはわからない。

タイトルの “Corpus Delicti” は法律用語で、通常は「罪体」と訳される。corpus は「体」あるいは「死体」を意味するので、本来は他殺体のこと、つまり殺人が行われたことを示すためには遺体が必要であるということが語源ではないかと思うが、今日使われる意味では、かならずしも遺体そのものとは限らず、犯罪が確かに行われたのだということを示す証拠を意味する。

マッコイは牧場主を殺人で起訴するが、牧場主が馬殺しを依頼していた件は「殺人とは無関係」という理由で証拠としては使えないことになってしまう。ラストでルースの遺体が発見され、これで “Corpus Delicti” は揃ったことになるが、そこでこのエピは終了。マッコイが牧場主を改めて起訴したかどうかはわからない。

マッコイが不自然なほどの強引さで追及したのは、再起訴が可能な審理無効に持ち込むための戦術(無罪になると同じ罪ではもう訴追できないため)と解されているようだが、いささか強引すぎる気がする。IMDb を見る限り、今回の役者が同じ役で出演している様子はないので、後日談エピがあるわけでもなさそう。消化不良な結末だった。

今回の元ネタは Helen Vorhees Brach(苗字の読み方がわからない。ヘレン・ヴォーヒーズ・ブラーチ?ブラック?)事件。詐欺事件に巻き込まれたあげく、1977年に失踪し84年に死亡が宣告されたが、遺体が発見されたわけではなく行方不明のまま。こちらの容疑者は殺人ではなく詐欺罪で終身刑になったが、終身刑という判決には、殺人の共同謀議に関わったという証拠が反映されているらしい。

また今回は、クレジットには出ていないが、法廷シーンでジル・ヘネシーの双子の姉妹であるジャクリーン・ヘネシーが登場している。法廷シーンは2回あったが

hermitage.rdy.jp_csi_img_caps_lao_122.jpg

向かって右側の方は、同じ衣装で台詞付きの場面あり。左側は法廷で座っている場面だけ(台詞なし)だったので、左がジャクリーンさんかな? 何でも、「ホミサイド」とのクロスオーバーで撮影スケジュールが取れなかったためらしい。

Yoko (yoko221b) 2012-02-05

lao/s06/122_corpus_delicti.txt · Last modified: 2020-04-19 by Yoko