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lao:s06:131_girlfriends

Law & Order - Season 6, Episode 20

#131 Girlfriends

  • 邦題:「裏の顔」
  • 脚本:Ed Zuckerman, Suzanne O'Malley
  • 原案:Ed Zuckerman, Jeremy R. Littman
  • 監督:Christopher Misiano
  • 初回放映:1996-05-01

事件概要

People v. Shelly Taggert (判事:Margaret Barry)

大学の図書館で、女子学生のブリジット・ケイリンが殺害される。着衣が乱れていたことからレイプが疑われる。学内では他にもレイプ事件が起きており、一見すると手口も共通しているようだったが、検死の結果レイプもレイプ未遂もなく、無関係の事件だとわかる。

聞き込みの結果、ブリジットが売春をしていたのではないかという可能性が浮上。指紋を調べてみると、以前に「ジェイン・モンロー」という偽名を使い売春で逮捕されていた。初犯だったため罰金だけの簡単な処分で済んだのだ。

風紀課の刑事から情報を得て囮捜査を行ったところ、現れたのはブリジットと親しい女子学生だった。彼女たちを手配していたのも、やはり女子学生のシェリー・タガート。シェリーは親元から通学しており、靴の輸入業を営む父親と2人暮らし。殺人の容疑には根拠が足りなかったため、刑事たちは売春容疑でタガート家を捜索し、顧客リストを発見する。

客たちに話を聞くと、ブリジットは恋人ができたために仕事を止めようとしていたという。客のひとりが記念に撮った写真を見ると、ブリジットはカメオのペンダントを着けていたが、それはシェリー・タガートの部屋にあったものと同じだった。ペンダントの紐はブリジットの首の傷跡と一致し、また2人が何か口論する所を見た者もいた。シェリーに殺人容疑の逮捕状が出るが、自宅へ行くと父親が「娘はヨーロッパへ出かけた。どこにいるかは知らない」という。

マッコイとキンケイドは、父親バリー・タガートの会社の財務記録を調べて娘の行先を突き止めようとするが、そこで取引先の名前がシェリーの顧客リストと重複していることに気づく。タガートは娘の売春組織を接待に利用していたのだ。企業ぐるみで売買春に関わっていたとなると、これはエンタープライズ・コラプション(企業犯罪?)という罪になり、大陪審はタガートの資産すべての差し押さえを命令できるようになるので、シェリーへの送金もできなくなる。

シェリーは帰国して起訴され、公判が始まる。客のひとりは「ブリジットが足を洗おうとしてシェリーと争った」と証言。シェリーは犯行を否定し、父親が何度か図書館に来て自分やブリジットと会ったことを証言する。バリーは大学のOBで、図書館にも自由に出入りできたのだ。弁護人はさらにカメオについて質問し、シェリーが「父が持ってきた」と言った所でマッコイが割って入る。シェリーが「父がブリジットを殺した」と言おうとしているのは明らかであったからだ。

尋問はそこでいったん中断され、マッコイは「そう証言するつもりなら、父親の犯行を立証しろ」と主張する。判事の指示で、マッコイは弁護人とともにバリー・タガートから話を聞く。タガートはブリジットと愛人関係にあったこと、カメオを与えたのは自分であることを認める。だが、ブリジットの遺体が図書館の何階で発見されたか、それを言うことはできなかった。

結局判事はシェリーの証言を許可。シェリーは再び証言台に立ち、父親がブリジットを殺したが、売春が表沙汰になることを恐れて隠したと、涙ながらに証言する。

評決は無罪。父娘は抱き合って喜び裁判所を出ようとするが、バリーはそこで再びエンタープライズ・コラプション罪で逮捕されてしまう。


感想

大学図書館での殺人事件。性犯罪かと思ったら、被害者が組織売春に関わっていたことがわかり、囮捜査をしてみたら、組織的どころか彼女たちが中心になって「起業」していたという事情が明らかに。始めたのはブリジットのようだが、そのうちにシェリーが加わって新規顧客を紹介し、すっかり遣り手婆になってしまった。しかも父親が経営する会社の接待に彼女たちを派遣していたという、とんでもない父娘だ。それが「うちの親は売春なんて絶対に許さないけど(当たり前だ!)、シェリーのパパは理解があってクール」というのだから、何ともはや。

遣り手婆のシェリーがどうやら犯人らしいとわかり、逮捕に向かったものの直前に海外に逃げられてしまう。そこでマッコイが思いついた手が、エンタープライズ・コラプション (enterprise corruption) 罪を適用して資産を凍結するという方法。

これがどういう犯罪なのか、具体的なことがよくわからないのだが、NY州の法律では、会社ぐるみで犯罪や不正(今回の場合は売春斡旋)を行っていた場合、捜査のため資産をすべて凍結させることができるらしい。そうやって資金源を断つとシェリーも帰国するしかない。

で、めでたくシェリーが帰国して公判が始まったと思ったら、ここで爆弾発言。主尋問で、殺されたブリジットが身に着けていたカメオのペンダントがシェリーの部屋にあったのはなぜか、と聞かれたシェリーは「父が持っていた」と答える。つまり、被害者ブリジットを殺したのはパパの方? えええぇっ?

マッコイとしてはそんな証言を許すわけにはいかない。父親も「殺したのは私だ」と認めるが、娘をかばって嘘をついているのは明らか。犯行現場は図書館の何階だったかと聞かれて、答えられなかったのだ。

結局、父親の犯行だとするシェリーの証言が採用され、評決は無罪。父娘は抱き合って喜ぶが、その直後に父親はエンタープライズ・コラプション罪で逮捕。この罪状が適用されると、会社の資産は凍結されてしまうため、弁護士費用も出せなくなる。さあどうする? というところでラスト。

この、最後のシェリーの表情が不敵な感じで良かった。証言台で泣きながら父親の犯行を証言し「ごめんなさい、パパ、ごめんなさい」と繰り返していた彼女とはまるで別人だ。「絶対にパパを釈放してあげる」という自信の笑みなのか、それとも「これからは私の時代よ」と父親を見捨てるつもりなのか? そこまでは描かれていないのでわからないが、何となく後者の方ではないかと思えた。

シェリーはそもそもなぜ、ブリジットのカメオを奪ったのだろう。単純にカメオが欲しかったわけではないだろう(自分でいくらでも買えるはずだから)。彼女の証言には事実もあったのではないか――つまり、父親がブリジットと男女関係になり、カメオを贈ったのは事実だった。シェリーはブリジットが売春から足を洗うことに怒って争いになって殺したとされているが、それだけではなく父親とのことも動機だったのではないだろうか。そしてブリジットに対しては殺害が、父親に対しては罪を着せることが懲罰だった。この父娘には何となく、そういう危ない愛情を感じさせる要素があったように思う。

さて、後半の展開に目が奪われてしまったが、前半の方での性犯罪をめぐるやり取りも印象に残る。結局性犯罪ではなく、今回の事件とは無関係だったが、シェリーたちの通う大学ではレイプが多発していたらしい。しかし被害17件のうち大学側がレイプだと認めたのは2件だけ。首を絞めるなど過度の暴力がないものは、当事者同士の「誤解」にすぎないと言われて取り合ってもらえないらしい。キャンパス・ポリスにもSVUが必要ですわね。

Yoko (yoko221b) 2012-05-23

lao/s06/131_girlfriends.txt · Last modified: 2020-04-19 by Yoko