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Without a Trace - Season 4, Episode 23

#93 White Balance

  • 邦題:「命の格差」
  • 脚本:Greg Walker
  • 監督:Jeff T. Thomas
  • 初回放映:2006-05-11

事件概要

同年代のティーンエージャー、エミリーとダーネルが同日ほぼ同時刻に行方を断つ。エミリーは白人で裕福な家庭の娘、ダーネルは貧しい黒人の少年で、お互いに関連はなく別々の事件と思われた。

失踪者:エミリー・グラント

エミリーは両親が離婚し、母親に反抗してタトゥーを入れたり、プロム用のドレスという口実で父親の口座から勝手に現金を引き出したりしていた。

エミリーの事件はニュースで大きく取上げられ、ヴァン・ドーレンはエミリー事件に人員を投入するようマローンに命じる。

友人の話から、年上の男性と交際していたことがわかり、似顔絵がニュースで公開される。それを見て、テリーという女性が「彼はマイルズ・サスマンです」と通報。マイルズはテリーを手玉に取り、金を貢がせた挙句に別の男と寝るよう強要したという。

その後、マイルズが見つかり逮捕される。マイルズは、エミリーを客に売ろうとしたものの、土壇場でエミリーが嫌だと言い、マイルズは客に殴り倒されて昏倒。意識が戻った時は2人ともいなかったという。

失踪者:ダーネル・ウィリアムズ

ダーネルは母親と2人暮らしで、父親は幼い頃に別れたきり連絡を取っていないという。成績優秀で特に問題のない生徒だったが、一度教室で海賊盤のCDをめぐってカーターという生徒と争ったことがあった。だが没収されたCDを調べてみると、中には楽曲だけでなく、学校の成績評価システムに不正アクセスしてデータを改ざんしたらしい形跡が残されていた。

エミリー事件がメディアを騒がせる一方でダーネルの事件は見向きもされない。サマンサはダーネル事件からエミリー事件に割り当てられ、ヴィヴィアン1人で捜査を行わねばならなくなってしまう。

カーターは、成績改ざんをダーネルに何度も頼み、やっと同意を得ることができたが、直前で気が変わり、金を返してくれと言ったが断られたという。ダーネルと話し合おうとしたが、茶色いバンに乗った男が銃で脅してダーネルを無理矢理連れ去ったと話す。

TV局はグラント(元)夫妻のインタビューを収録し、次はダーネルの母親のインタビューを撮る予定だったが、レポーターは「呼び出しがかかった」と言って帰ってしまう。明らかに、最初からダーネルのことは眼中になかったのだ。

ヴィヴィアンは、ダーネルを連れ去ったというバンを見つけるが、持ち主は「銃など使っていない。ダーネルを父親に会わせただけだ」と言う。ずっと昔に別れたきりだった父親が街へ戻って来ていたのだ。ダーネルは父親と再会し、父親をもっと良い住居へ移すために金を工面しようとしていた。

ダーネルの父親の住居を探し出して踏み込んでみると、父親はそこで死亡していた。隣人の話では、2日前に訪ねて来たダーネルが遺体を発見したという。その隣人はその後、通りでダーネルと白人の少年が金のことで口論するところを見ていた。


ダーネル事件ではカーターが、エミリー事件ではマイルズの「客」が連行され、それぞれに取調べを受ける。

そして、同時に失踪した2人の消息はほぼ同時に判明する――ひとりは生存、ひとりは死亡。エレナが遺体を確認し、マローンは報せを待つ2人の母親に近づいて行く。


感想

2人のうち、どちらが死亡したのかは最後まで明かされないままだった。遺体を確認したエレナは、最初からエミリー事件の担当だったので、亡くなったのはやはりエミリーの方だったのかな。状況的にも、ダーネルよりエミリーの方が殺される危険性が高そうだ。カーターがダーネルを殺して車のトランクに放り込むって、ちょっと想像できないし。かといって、ダーネルが生きているなら、それはそれでどういう状況なのかよくわからないけど(カーターが監禁していたとか?)。

メディアがエミリーの事件を騒ぎすぎたことが、かえってエミリーを危険に晒してしまった――という皮肉な結末だったのかな、とも考えたのだが、考えてみればWATという番組自体がその「メディア」の一部。本国CBSの放送では、現実の失踪者に関する告知が番組中に挿入され(このエピソードでも)、それが奏功した事件もあったらしいので、そこまでメディアを悪者にするのもどうだろう。児童の失踪直後にメディアを総動員して警報を流す「アンバーアラート」などのシステムは一定の成果を挙げており有効性が確認されているらしい。

そしてダーネルよりエミリー事件に力を入れろと圧力をかけに来るのが、久々に登場のヴァン・ドーレン。ジャックも命令には従わざるを得ない立場であり、ヴィヴは不満を隠さない。ジャックの離婚とヴィヴの病気がなければ、板ばさみになっていたのはヴィヴ本人だったかもしれないのだが……。

ヴァン・ドーレンを悪者にすることは容易いが、人種問題とは別に、少年より少女の方が危険な目に遭う確率が高い、という判断もあり得るのではないかと思った。これが「白人少女と黒人少女」あるいは「黒人少女と白人少年」ならどうなっただろう?

TV.com のレビューを見ると、同じプロットの作品が70年代のTV映画(タイトル不明)にあったというのだが、どの程度似ているのか気になるところ。その映画の方では、白人少年と黒人少年のうち「ひとりは生存、ひとりは死亡」で、どちらが死亡したのか明かされないままエンディング、という所も同じだったらしい。


使用楽曲

“Cry” by James Blunt

Yoko (yoko221b) 2009-05-17

wat/s04/093_white_balance.txt · Last modified: 2024-03-09 by 127.0.0.1