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wire:s04:049_thats_got_his_own

The Wire - Season 4, Episode 12

#49 That's Got His Own

  • 邦題:「己の恵みを持つ者」
  • 監督:Joe Chappelle
  • 脚本:George Pelecanos
  • 原案:Ed Burns, George Pelecanos
  • 初回放映:2006-12-03

“That all there is to it?” – Bubbles

概要

マイケルはクリスとスヌープから戦闘訓練を受ける。

バンクとフリーマンは、新しい釘が打ってあった板をはがし、中で白骨化した遺体を発見。他の板も破ろうとするが、殺人課のランズマン巡査部長に阻まれる。現在でも殺人課の検挙率は50%を下回っている。今年も残すところあと3週間という時期に大量の遺体を発見するわけにいかないというのだ。

MCUではマリモウが去り、フリーマンが復帰。さらに警部補のアッシャーが主任に返り咲く。ハークは監視カメラの件で内部監査課へ。フリーマンは失踪班で書類を調べ、予想を上回る数の行方不明者がいることを知る。

ドゥーキーは本来の学年より下の学級に通っていたが、教頭の判断で高校のクラスに戻ることが決定される。プレッズはドゥーキーはまだ高校には早いと言うが、教頭の決定は変わらない。教頭はプレッズがドゥーキーの面倒をみていることを知っており「あの子はあなたの息子ではない。自分のやるべき仕事をして送り出しなさい。面倒をみなければいけない子どもたちは他にも大勢いるのですよ」と諭す。

フリーマンは空家の遺体の件と、探せば他にももっと出てきそうな件をダニエルズに報告。その話はダニエルズからロールズへ、さらにカルケッティへと決断が委ねられる。大量の遺体が明るみに出ても、今年中であればまだ前市長の責任にできるが、年が開ければカルケッティがその数値を受け止めることになる。カルケッティは「年が明ける前に」全員運び出せと命ずる。

いつも同じ男に殴られて金品を強奪され、ハークもアテにならないとわかったバブルスは、男を陥れるためにホットショット(麻薬に見せかけた猛毒)を製作。だがその日は男と出会わず、バブルスはそのまま帰宅。翌朝目覚めたバブルスは、夜の間にシェロードがホットショットを知らずに服用したことを知る――。

ネイは手下として使っていたケナードから「警察が薬物を持って行った」と報告を受ける。ネイから事情を聞いたマイケルは、ケナード本人が着服したと確信する。ネイの母デロンダは事情を聞くと「ケナードに思い知らせろ、父親の名を汚すんじゃない、このb*tch」と怒り狂い、たまらずネイは家を飛び出す。その後、マイケルとともにケナードを問い詰め、マイケルはケナードを殴り倒す。その光景に恐れをなし、ネイは再び逃げ出してしまう。

カルケッティ市長らは学校の赤字に頭を悩ませていた。今さら警察や消防の予算を削るわけにもいかず、他に財源もない。結局、メリーランド州の財源を頼ることになるが、その条件を聞いてスタッフの意見は分かれる。金を受け取れば学校の運営に対する州の力が強くなる。取らなければ教育の現場にしわ寄せが行く。いずれにしても支持基盤を失うおそれがあった。州知事は、カルケッティが知事選に打って出ることを予想した上で餌をちらつかせているのだった。

約束どおり、プロップ・ジョーは「荷」の受け渡しをオマーに告げる。すでにチーズをマークしていたオマーらは、薬物の運搬車両を襲い薬物を強奪。

ボクシングジムでは、ネイのちょっとした軽口がもとでマイケルが暴力沙汰を起してしまう。マイケルはジムを飛び出し、ネイは家に帰るに帰れず途方にくれる。カーヴァーはネイを自分のオフィスに連れ帰る。母親は引き取りに来そうにもなく、コルヴィンがネイを連れ帰る。

デニスはマイケルを探し、街角にたむろしているマイケルを見つける。話をしようとするがマイケルは取り合わず、デニスはマイケルの仲間のひとりに脚を撃たれてしまう。

ランディは乱闘事件以来学校を休んでいた。自宅付近には警備のために私服警官が張り込んでいた。だが、その警官が嘘の通報にだまされて別の場所へ急行した隙に、ランディの家には火炎瓶が投げ込まれる。


感想

冒頭、マイケルがクリスに追われていて「な、何?」と思ったら何ともリアルな演習。クリスは前も他の少年たち相手に「銃撃戦講座」をやっていたが、今季はいろいろな「教育」が描かれているなぁと思う。そういえば、シーズン初期には「大丈夫か?」と思わせたリナルド君もオマーのパートナーを立派に務めて薬物強奪に成功(シリアルはちゃんと補充してくれているのだろうか)。オマーの「田んぼの中の一軒家」久しぶり~。歌詞の一部 “Cheese stands alone” はシーズン1でも出て来たっけ……今回は尾行していた相手が「チーズ」だったわけだけど。

そんなこんなで、終盤に来ていよいよクリスたちの殺人が明らかになり、事件方面が大きく動き出すとともに「広げた風呂敷がたたまれていく」流れを強く感じた今回のエピ。黒板に向かって「くすっ」と笑うプレズボ先生の表情が良い――最後にドゥーキーがパソコンを止めて出て行く場面は寂しかったけれど(ドゥーキーが最後に見ていた画面、一瞬ちらっと映るだけだったが、DVDをコマ送りしてみた結果「プレズボ先生の数学教室」と判明。あのページ、ドゥーキーが作ったのかな)。

そして今回はバブルスが~~~っ!!! 今季のバブズは殴られたりハークに冷たくされたりで、ハット・トリックを1度やった以外は何だか毎回痛々しくて、見るのが辛い。

ハークってば偉そう。実力じゃない棚ぼた巡査部長のくせに~自分だって第2シーズンではカーヴァー巡査部長(こいつもよく考えたらスパイ行為の論功行賞だったが)にタメ口だったくせに~。内部監査が入ったところで、何だかほっとしてしまった。

それにしてもネイママはひどい女。この親子を見ていてディアンジェロとドネットを思い出したこともあったが、デロンダさんはもっと凶悪。

ところでこのエピでは、現実のメリーランド州知事(当時)のロバート・アーリック氏が警備員役でカメオ出演しているとのこと。アーリック氏はこのエピが放映される少し前に行われた選挙で対立候補のマーティン・オマリー(現知事)に敗北。オマリー氏は元ボルティモア市長で、カルケッティのモデル(の一人)と目されている。アーリックさんだけが出演したのは別に政治的理由ではなく、単にオマリーさんが出演を断っただけらしい。

Yoko (yoko221b) 2008-08-22

wire/s04/049_thats_got_his_own.txt · Last modified: 2020-08-15 by 127.0.0.1